人気ブログランキング | 話題のタグを見る

最終報告書(助成先申請版)

本事業の最終報告(下記貼り付け*調査結果抜粋)を助成先である日本学術振興会に提出しています。またフルの最終報告書(50頁)を6月1日に発行しています。必要な方はご連絡ください。ただし、現地政治状況が緊張しているため、現時点で複写・転載はご遠慮いただいています。

研究種目:若手研究(A)
研究期間:2009~2011
研究課題名(和文) 紛争後の亀裂社会における地域開発の課題
~モザンビークとルワンダを中心に
研究課題名(英文) Challenges of Community Development in Conflict-torn Societies:
focusing on Mozambique and Rwanda
研究代表者 舩田クラーセン さやか(Funada-Classen Sayaka)
東京外国語大学・大学院総合国際学研究院・准教授

研究成果の概要(和文):
本研究は、紛争/虐殺から約20年が経過したモザンビークとルワンダを事例に、日本も積極的に関わる冷戦後平和構築の現状と課題を明らかにしようと試みた。3年に亘る現地調査の結果、両国共に国レベルでは国際的に高い評価を獲得する一方、地域社会レベルでは亀裂解消は依然課題で一部に悪化/複雑化傾向がみられること、その背景に国家による選挙や開発政策を通じた地域社会への介入が深く関わっていることが明らかになった。以上から、暴力現場での亀裂解消は重要課題であり、地域社会に注目した平和構築研究や政策実施が求められる。

研究成果の概要(英文):
This study tried to reveal the current status and challenges of Post-Cold War Peace-building efforts joined also by the Japanese government, through carrying out a comparative and field research in post-conflict/genocide Mozambique and Rwanda. Almost 20 years have passed since the end of the war/genocide in these two countries. Although both countries have been praised by the international actors for their statistical performance at state level, the three-year-field research leads us to conclude that: challenges of overcoming the cleavages at local level still remains, and some degradation/complication of social relationships is observed in some places; this phenomenon was caused by the severe interference of the states through elections and development policies. Based on the above conclusion, easing local level cleavages is one of the most important issues, and much more focus on the war-torn local communities is needed in the field of Peace-building studies and policy.

研究分野:複合新領域
科研費の分科・細目:地域研究
キーワード:(1) アフリカ紛争 (2)紛争後の平和構築 (3)モザンビーク (4)ルワンダ (5)亀裂社会 (6)アフリカの民主化 (7)国連平和活動 (8)国民和解


1.研究開始当初の背景
 
 長年にわたり世界を二分した冷戦が終焉し、国連事務総長(当時)は、より積極的に平和を創り出すpeace making(平和の創造)、紛争終結後に平和を安定させるためのpeace building(平和構築)等の新しい概念を発案し、国連平和維持活動(PKO)の大々的な機能拡充を図った。その結果、冷戦期を通じて停戦監視を意味した国連PKOは、選挙支援から復興支援までを含む包括的で複合的な活動へと変貌を遂げ、世界各地に展開した。
 しかし、国際平和への楽観的観測は、直ちに再考を余儀なくされる。アフリカでも、冷戦期の紛争が終息する一方で、新たな紛争が頻発し、ルワンダ虐殺、シエラレオネ・リベリア内戦等により、著しい数の人命が奪われた。1990年代を通じて国連PKOの7割がアフリカで展開され、ポスト冷戦期の主戦場は長らくアフリカのことを指した。
 このポスト冷戦期の世界の紛争を分析したメアリー・カルドーは、これらの紛争が従来の紛争(「旧い戦争」)とは異なった特徴を有しているため、「新しい戦争」として認識し直すべきと唱えた。そして、グローバリゼーション下の経済が戦争を底支えするメカニズムを明らかにする一方、憎悪を利用した戦術やアイデンティティ政治の操作が、地域社会や民衆を暴力行為に深く巻き込むことによって紛争を凄惨なものとし、多大な数の犠牲者を発生させると指摘した。
 モザンビーク紛争は、冷戦期に開始した紛争(1977年~92年)ではあるが、子ども兵の徴用、身体部位の切除、集団間の憎悪の利用など、ポスト冷戦期紛争に類似した特徴を示しており、カルドーらにも「新しい戦争」の先駆けとして認識されている。これまで代表者は、激しい対立を経験した同国北部に着目し、学際的・歴史的考察によってモザンビーク紛争の原因解明を試みてきた。そして、地域社会で歴史的に醸成された亀裂に「新しい戦争」で示されたような戦術が用いられることで、暴力が内部化し、紛争の土着化が進み、社会により深刻な亀裂を刻み込むことを実証した。
 しかし、冷戦後平和構築という概念を積極的に推進してきた国連は、戦場となった地域社会で生み出された深刻な亀裂の軽減を念頭に置いて活動をしているわけではない。地域社会における平和構築は、民主選挙後の政府が担うとされ、「弾丸から投票用紙へ(bullet to ballot)」を掛け声に、対立手段の非暴力化の試み(武装解除・政党支援)に力が注がれた。しかし、紛争当事者の一方であることが多い新政権(戦争/選挙の勝者)による開発政策の実施は、地域的文脈においては強い政治性を帯びる傾向があり、亀裂を軽減するどころか悪化させる可能性がある。 

2.研究の目的
 本研究は、以上の認識、代表者のこれまでのモザンビーク紛争並びに平和構築に関する研究に基づき、「新しい戦争」の一例として取り上げられることの多いルワンダを比較対象として調査・研究を行った。ルワンダでも、モザンビークと同様、虐殺から現在まで(国内に限ると)武力紛争は再燃しておらず、国際社会に高い評価を得ている。ただし、地域社会で何が起きているのかについては統一の見解があるとは言い難い。
 本研究は、武力紛争/虐殺から20年近くが経過した現在、深い亀裂が刻み込まれた両国の地域社会で何が起きているのかを実証的に明らかにし、その背景を考察するとともに、可能性の芽を丁寧に掬い取りながら課題の解消の方策を検討する目的で実施される。これまで国レベルの制度改革に力点が置かれてきた平和構築の議論に、戦場となった地域社会の文脈を取り入れることによって、従来の平和構築活動の限界を明らかにし、地域社会の平和醸成を目的に含める活動への転換を促し、紛争再燃の予防に寄与しようと試みた。また、代表者がこれまでモザンビークを事例として培ってきた知見を、アフリカ(サハラ以南アフリカを指す)の地域的広がりの中で再考する機会とした。

3.研究の方法
 
本研究では、研究協力者や現地機関、国内外の関係機関の協力を得て、3年間をかけて、「紛争後の亀裂社会における地域開発の課題」を明らかにし、研究成果を社会に還元するため、次の4つの研究手法を採用した。
(1)文献調査に基づく先行研究の整理
(2)現地調査に基づく2つの中心事例(モザンビークとルワンダ)の分析
(3)紛争未経験の他事例との比較
(4)実務者を含む対話に基づく提言


4.研究成果

*本研究の成果の詳細については、紙幅の関係から、既に発表している最終報告書を参照されたい。また、これ以降、モザンビークを「モ国」、ルワンダを「ル国」と表記する。

(1)冷戦後の平和構築における事例の位置
 ①先行研究の中の位置づけ

 紛争後の平和構築の取り組みについては、様々な類型化の試みがあり、近年その成功を、(a)紛争の再燃の有無(2、5、10年)、(b)民主化の度合い、(c)国家機構の脆弱度、(d)ガバナンスで測る傾向がみられる。
 これを受けて、国際比較研究を組織したクリストフ・ツェルシャーは、1989年以来終結した52の事例について、3項目(外部支援の大小、安定度、民主化度)に注目し類型化を試みた(Zuercher 2010)。その結果、26事例が最上位の「安定し民主的でもある」と分類され、その中にモ国も含まれた。また、「民主的ではないが安定している」とされる25事例にル国が含まれている。

②両事例の類似性とマクロ指標
 平和構築の成功例とされる両国の類似性は次のようにまとめられる。

表1 紛争/虐殺後における両国の類似性
モザンビークルワンダ
•「戦後復興の優等生」•「奇跡」
•高い経済成長
•共和制
•4度の多党制国政選挙 •2度の大統領選挙
•和平後も同じ与党(FRELIMO)•虐殺後、18年間同じ与党(RPF)
•権威主義的 •権威主義的/開発独裁

 紛争後のモ国並びにル国の経済成長(一人当たりGNI)と人間の開発指数の推移から、文字通り「右肩上がり」となっている。また、元紛争国の安定を図るために用いられる国家脆弱性指数も、両国ともに2003年以降アフリカ全体よりも大きく下降傾向を示している(State Fragile Index 2010)。
 しかし、政治自由度指数については、戦後劇的に改善されたモ国に比してル国の停滞ぶりが著しい。ただし、モ国も「部分的に自由」という評価に過ぎず、2010年に数値が悪化し、「選挙民主主義国」から外されている(Freedomhouse2011)。
 以上のマクロ指標からは、両国ともに、国全体として経済面での経済成長と開発指数の向上が観察でき、国家としての脆弱性も緩和されつつある一方、政治面での自由度や民主化の点では課題が残っていることが読み取れた。では、両国で激しい暴力の現場となった農村部は如何なる現状にあるのだろうか。地域社会の亀裂に焦点を当て、現状と課題、変化の兆しについて以下の調査を行った。

(2)現地調査結果
①調査手法
 
 本調査は、2009~11年(8~9月)にかけて、両国の各3村で2週間ずつ、現地の調査機関の協力を得て実施された(モ国:社会調査機関ARPAC、ル国:女性組織ARTCF<A・B村>、社会調査機関IRST<C村>)。
 調査対象者は、各国3村(モ国北部MW村、MH村、MT村並びにル国南部A村、B村、C村)の男女20名計240名であった。
 両国ともに、男性には男性の、女性には女性の通訳(マクア語とポルトガル語、キニャルワンダ語と英語)を介して調査を実施した。なお、ル国については通訳のジェンダーだけでなく、出身の民族集団の偏りに配慮し、調査結果のクロスチェックを実施した。

②調査の限界 
 先述の通り、ル国では現在も政治的自由度が低く、2008年来民族集団名について質問・議論することは法律で禁じられている。したがって、民族集団の別を直接聞けない、また(本報告も含め)調査結果をそのまま書くことが出来ないという大きな制約が生じた。この他にも本調査は様々な障壁に阻まれたが、最終的には代表者による18年に及ぶモ国での現地調査の経験が役立った。本報告から現地での調査が容易との印象が流布し、安易な調査が行われないことを願いたい。

③調査内容・項目
定性的調査の大きな質問は6項目であり、各項目の中に二つ以上の小項目を設定した。
(ア)バックグラウンド(年齢、生まれた場所・年、教育、宗教、組合やアソシエーション等の活動、職業、村内での役割、避難・移住経験)
(イ)家族構成(失った家族/残った家族・現在の所在地。一親等~四親等*配偶者のものを含む)
(ウ)社会関係資本(心配事や問題が発生した際に頼る相手の数と詳細:①塩、②カネ、③家の補修や建設、④心の悩み)
(エ)生活の満足度と紛争/虐殺後政策の満足度(1~10までの数値から選択&その理由)
(オ)開発ニーズ(17項目から優先順位をつけて3つまで選択&その理由。選択肢:①雇用、②農業/家畜、③商業化、④工業化、⑤正規教育、⑥食料の確保、⑦清潔な水へのアクセス、⑧健康や医療機関、⑨家の建設/改善、⑩伝統的教育、⑪宗教、⑫コミュニティの統合、⑬ローカルな歴史の継承、⑭交通網の整備・交通手段の確保、⑮電気、⑯土地の所有、⑰野生動物の対処)
(カ)紛争/虐殺から20年弱経た現在重要なもの(8項目から優先順位をつけ3つ選択&その理由。選択肢:①忘却する、②生活を再建する、③コミュニティを再統合する、④真実を知る、⑤罪を犯した者を裁く、⑥赦す、⑦伝統的な儀礼による浄化、⑧失ったものを償う)

④調査結果の分析手法 
 本報告では、両国6村の結果の全てを示す紙幅がないため、結論を導き出すに当たって中心的に分析・考察したル国C村の結果を示した上で、本研究の最終結論を示す。
 以下の表が、C村住民の虐殺後17年経過した時点で重視している項目のまとめである。
 ただし、この結果だけに依拠し、分析・考察することは不可能である。個々の調査対象者のエスニシティやジェンダーに注目するだけでなく、(a)ライフヒストリー、(b)現在の村の中での人間関係や社会関係資本の在り方、(c)現在の経済状況の丁寧な聞き取りに注目する必要があり、分析にあたっては次の調査項目を重視した。①虐殺前と後の移動、②逮捕・投獄・ガチャチャ裁判歴、③年齢や教育レベル、④宗教やアソシエーション等の活動への参加度、⑤家・土地・家畜の所有状況や現金収入獲得の可能性である。

⑤調査結果から導かれる結論 
 以上の個別の検討の結果、残念ながら、ル国C村では、亀裂が緩和されておらず、より複雑化しているとの結論に至った。A・B村でも同様の結果が示唆されている。
 ル国では、地域社会を根深く巻き込む形で、戦争・虐殺が繰り返されてきた。そして、虐殺後も、地域社会は中央の政治や政策の在り方の強い介入を受け続けている。ガチャチャ裁判、反分裂主義/反ジェノサイド・イデオロギー法、農村の近代化政策、貧困削減政策、アソシエーション/組合活動の奨励、土地法改革、ジェンダー政策である。
 無論これらの政策は、暴力的に引き裂かれた人びとの溝を乗り越え、より豊かな生活を実現しようという素晴らしいビジョンに基づいており、多くの国際機関や援助機関の賛同と支援を得てきた。しかし、地域社会における実態は、これと矛盾するものとなっていることが本調査で明らかになった。特定民族集団主導の政権による各種政策が、地域社会の文脈では不公平に導入され、疑心暗鬼や不満、亀裂を深める結果となっているのである。 
 同様の結論は、本研究と同時期に行われたシュトラウスらの研究によっても導かれている。彼らは、現政権による地域社会への介入を「社会エンジニアリング」と呼び、その強制が及ぼす否定的な影響を危惧している(Straus and Waldorf 2011:11)。また、先行研究で「政治指導者が人びとに介入しなければ民族問題は起きなかっただろう」と答えた人が76%を超えたことに示されている通り(Longman et.al.2004:223)、このような傾向は将来の暴力再発可能性を高める。
 もちろん、大多数の人が和解に役立ったというガチャチャ裁判や、女性の権利向上につながるはずの土地法の改正、異なった民族集団同士の協働を促すアソシエーションや組合活動の奨励等、全てを全面否定すべきではない。シュトラウスらには取り上げられなかったものの、本調査では、女性組織や宗教あるいはその他の中間組織が、民族集団を越えた協働を促進し、特に女性の間で信頼醸成に役立つ傾向が示された。このような「下からの」日々の実践を軽視するべきではなく、その可能性について取り上げ、示し続ける必要がある。
 一方で、これらの実践とて国家権力の介入抜きに機能しているわけではない点は留意が必要である。ル国では、女性組織が中央から末端まで貫く形で整備されているが、政権の上意下達ツールとしての特徴が顕著となっているからである。また、女性同士の活動上での協働の一方で、調査では個々の互いへの蟠りの根の深さが明らかになっている。
 虐殺後にル国が試みた政策の多くは、長い植民地解放戦争後にモ国が試みたものでもあった。モ国の武力紛争は外部からもたらされたが、モ国内部(特に北部)に呼応する層を形成したのはこれらの政策による不満であった。また3村の調査からは、ル国ほどではないものの、独立後の紛争による亀裂の継続が浮き彫りになった。その背景には、戦後すぐに導入された競争選挙、各種政策を通じた地域社会への国家の介入があった。

⑥本研究の結論から導かれる提言 
ル国でもモ国でも、地域社会における亀裂解消の道のりは途上であり、戦後の新たな状況(国家権力による介入、競争選挙、グローバル化)によって、複雑化する傾向にあることがわかった。人びとは、このような大状況に影響されつつも、日々、互いに努力を重ねているが、その努力は状況の変化によって吹き飛ばされかねない不安定さを秘めている。
 特にル国については、虐殺後コンゴ(民)に逃れた勢力との暴力対立が継続している点は国政にも地域社会にも大きな影響を及ぼしている。比してモ国では、反政府勢力は最大野党に転じており、格段に安定した政情にあるが、今年3月に同国北部で元反政府勢力支持者200名と警察部隊が武力衝突する事件が発生している点は注意が必要である。
 冒頭で検討した通り、冷戦後の世界において、元紛争地は国際社会の強い関与を受ける場となっている。しかし本研究で明らかになった通り、地域社会の実態を無視したまま、マクロ的な数値(経済成長率や選挙の回数、戦争の再燃の有無)だけに依拠して平和構築の「成功」を語るのは問題である。外部者らは、暴力の現場になった地域社会にもっと目を向けるべきであり、また援助において紛争の根本原因を創り出した不公正の解消を心がけなければならない。また、両国が、地域社会の現実を無視されたまま「平和構築のモデル」として他に適応されることは問題である。「受けの好い」政権を支持するため、あるいは資源や投資のため、「多少のことは目をつぶる」のであれば、悲劇は繰り返しかねない。
 本研究を通して改めて学んだのは、大規模暴力が起こってしまった後の地域社会内の亀裂緩和の困難である。「戦争後」の平和構築は重要であるものの、平和構築は「戦争予防」のためにこそ試行されるべきと考える。
 日本政府は、国際社会における平和構築への注目を受けて、1990年代初頭から現在まで世界の紛争後の国々に関与し続けている。本研究が取り上げた両事例も同様であった。しかしこれまでの関与は、紛争の根本原因や地域社会の現実に配慮したものとは言い難かった。本研究が、日本や多様なアクターによって試みられている世界の平和構築活動や研究に寄与することを願い、今後の成果発表に努めたい。

5.主な発表論文等本研究期間のものに限る。
〔雑誌論文〕(計2件)
① 舩田クラーセンさやか著「『ODA見返り論』からの脱却を」特集「国際援助の新戦略」『外交』2012年3月12号、128~133頁、査読無。
②舩田クラーセンさやか著「アフリカと環境問題~グローバリゼーション、ガバナンス、人びとの脆弱性」『国際問題』2010年5月号、40~51頁、査読無
〔学会発表〕(計5件)
①舩田クラーセンさやか発表 日本アフリカ学会 第49回学術大会 国立民族学博物館 2012年5月26日「『16年後』のモザンビークとルワンダ~最終報告」
②舩田クラーセンさやか発表 日本国際政治学会2011年度研究大会 つくば国際会議場 2011年11月12日 部会8「紛争後の国家建設と民主的統治」「戦後モザンビークにおける国家統治と民主化」
③舩田クラーセンさやか発表 日本平和学会2011年度秋季研究集会 広島修道大学 2011年10月29日 部会「世界構造の揺らぎー<アラブの春>を超えて」「<アラブの春>とサハラ以南アフリカ~比較と関係の視点から~」
④舩田クラーセンさやか発表 日本アフリカ学会 第48回学術大会 弘前大学 2011年5月21日「『16年後』のモザンビークとルワンダ~比較と関係性の視点から~」
⑤舩田クラーセンさやか発表 日本アフリカ学会 第46回学術大会 東京農業大学 2009年5月24日「南東部アフリカ現代史試論~モザンビーク解放闘争から再考する~」
〔図書〕(計5件)
①舩田クラーセンさやか著『最終報告書 紛争後の亀裂社会における地域開発の課題~モザンビークとルワンダを中心に』2012年6月、50頁。
②Sayaka Funada Classen著The Origins of War in Mozambique, Ochanomizu Shobo 2012, p.433.
③舩田クラーセンさやか著「モザンビークにおける紛争解決の現状と教訓」川端正久(編)『アフリカの紛争解決―経験と展望―』ミネルヴァ書店2010年、(3章)61―90頁。
④舩田クラーセンさやか著「変貌するアフリカ市民社会と日本の私たち」峯陽一・武内進一・笹岡雄一(編)『アフリカから学ぶ』有斐閣、2010年、(14章)367-398頁。
⑤舩田クラーセンさやか著『アフリカ学入門』明石書店、2010年、359頁。
# by kaken-africa | 2012-09-28 13:04 | 研究成果発表

日本アフリカ学会報告(5月26日)

5月26日~27日まで国立民族学博物館で実施された日本アフリカ学会第49学術大会にて、研究発表を行いました。
 去年の同学会での報告や3月21日の最終報告会での専門家らのフィードバックを受けて、最終とりまとめ報告を実施しました。100名を超える数のみなさんに集まっていただき、誠にありがとうございました。
 当日配布した資料は、現在報告書としてとりまとめ中です。しばらくお待ちください。
# by kaken-africa | 2012-06-03 14:08 | 研究成果発表

最終報告会(3月22日)

最終報告会を以下の要領で行いました。

2009年度より3年間の予定で取り組んできた研究課題「紛争後の亀裂社会における地域開発の課題~モザンビークとルワンダの事例を中心として」 (科学研究補助金若手A 研究代表:舩田クラーセンさやか)の最終報告会を開催いたしました。

 本研究課題には、研究協力者や研究補助者など多 くの皆さんの協力を頂きながら現地調査を実施し、研究を深めてまいりました。まだ十分な検討が必要な段階ではありますが、これまでの調査並びに研 究成果を報告し、専門家の皆さんからご意見を頂くとともに、議論を深めることができました。参加者のみなさんに、この場を借りて、お礼申し上げます。

■最終報告会「紛争後の亀裂社会における地域開発の課題~モザンビークとルワンダの事例を中心として」
■日時:3月21日(水)16時~18時半
■場所:東京外国語大学 本郷サテライト4階セミナールーム
(住所:東京都文京区本郷2-14-10 TEL: 03-5805-3254 )
■アクセス:本郷通り上壱岐坂上交差点前ビル。
東京メトロ丸ノ内線: 本郷三丁目駅(M21) 2番出口下車徒歩3分
都営地下鉄大江戸線: 本郷三丁目駅(E08) 5番出口下車徒歩4分
都営地下鉄三田線: 水道橋駅(I11) A1出口下車徒歩6分
JR線: 御茶ノ水駅 お茶の水橋口下車徒歩7分
場所が大変わかりづらくなっていますので、下記のURLから地図をダウンロードしてお越しください。
http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html
(東京外国語大学本郷サテライト地図)
■式次第
1.研究報告
(1)本研究についての概要説明
(2)モザンビークにおける現地調査報告
 (以上舩田クラーセンさやか 東京外国語大学大学院
     総合国際学研究院准教授)
(3)ルワンダにおける現地調査報告:女性/ジェンダーの視点から
 (八尋絵美 東京外国語大学大学院修士課程在籍)
(4)モザンビーク・ルワンダの比較報告:舩田クラーセンさやか
2.ディスカッサントによるコメント
3.質疑応答
■ディスカッサント
・岩崎健幸 日本アフリカ学会会員
・武内進一 JICA研究所 上級研究員
・米川正子 宇都宮大学 特任准教授
# by kaken-africa | 2012-06-03 14:05 | 研究成果発表

ルワンダ東部農村における現地調査報告(女性/ジェンダーおよび貧困政策を焦点として)

2011年度ルワンダ現地調査(依頼分)の報告です。
 本研究の主たる対象国であるモザンビークとルワンダの内、ルワンダの現地調査については同国を専門として研究する2名の本学大学院生に現地調査依頼を行いました。これは、研究分担者がいない本研究において、二か国を同じ深度で調査研究することが難しいためです。代表者は2010年度よりモザンビークでの現地調査に加え、ルワンダでの現地調査を開始しましたが、夏休み期間中しか調査ができない中、同年度から夏休み期間が大幅に減り、ルワンダについては2週間弱の滞在日程しか確保できませんでした。そこで、今年度は最終年度ということもあり、同国を専門的に研究する若手研究者の協力を得ることになりました。
 依頼した調査内容は、「虐殺後のルワンダ農村社会における地域開発の課題」を、それぞれ自分が専門とする「女性/ジェンダー」と「貧困政策」を焦点として聞き取り調査を実施するというものでした。同国東部州のそれぞれ別の地区で行われた現地調査の報告全文(約10ページ)については、その一部または全文を本研究の最終報告書に掲載する予定です。本ブログではその要約を紹介しておきます。(代表者の調査報告については、最終報告書であわせて発表します。)


【現地調査要旨】
(その1)「紛争後の亀裂社会における地域開発の課題~モザンビークとルワンダを中心に」―ジェンダーの視点から―
現地調査実施者:東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士前期課程 八尋絵美
現地調査概要
場所 ルワンダ共和国東部州M市A地区
期間 2011年7月30日~2011年9月25日(ルワンダ滞在)
   2011年8月12日~2011年9月18日(調査地滞在)
対象 A地区在住の女性
アンケート数 37
現地調査の狙い
ルワンダの、人口の70%が集まる地方農村部において、地域開発はどのようにして行われているのか、また、その課題は何であるのかを明らかにするのが本調査の狙いである。今回はとりわけジェンダーの視点から、地域開発の在り方を分析するため、女性にターゲットを絞りインタビュー調査を行った。
 ルワンダでは1994年に民族大虐殺(ジェノサイド)が発生し、多くの男性が殺され、またその後、虐殺に加担した男性の多くが投獄された。そのため女性たちには、社会や経済、文化の復興の担い手としての役割が期待されてきた。現政権も女性の活躍を積極的に支持したことから、ジェンダー省や女性評議会が力をもった政治機関として機能しているほか、全ての意思決定機関の3割を女性が占めるなど、女性の積極的登用が行われている。
 しかし一方で、貧困が、夫を失った女性や孤児など、弱者グループ (vulnerable group)に集中しているという統計も報告されている。そのため、地域開発の在り方を、開発の担い手であり、社会的弱者でもある女性の視点から分析することは、非常に重要であると考えた。
現地調査の簡単な結論
予備調査の段階で、女性の積極的参加が奨励される開発の機会の筆頭として協同組合が挙げられることが明らかになったため、協同組合と女性の関わりを探った。結論として、協同組合はその組合が持つ性質や目的によって参加する女性に与える影響が異なることが明らかになった。すなわち、協同組合に参加しているからと言って、それが必ずしも女性の生活にプラスの影響をもたらすとは限らないのである。一方で、女性が中心となって活動している協同組合では、女性の自立を促すような知識や情報が積極的に共有されていることも明らかになった。しかし、こうした協同組合は、夫を亡くした女性や貧困層の女性など、社会的にも経済的にも弱い立場にいる女性をターゲットとしている傾向があり、行政や国内外のNGOからの支援は厚いが、これら外部者からの強い管理・運営を受ける傾向にあることも注視すべきである。

【現地調査要旨】
(その2)「紛争後の亀裂社会における地域開発の課題~モザンビークとルワンダを中心に」―貧困削減政策の視点から―
現地調査実施者:東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士前期課程 朴明淑
現地調査概要
場所 ルワンダ共和国東部州M市B地区
期間 2011年7月30日~2011年9月25日(ルワンダ滞在)
   2011年8月12日~2011年9月18日(調査地滞在)
対象 A地区在住の農民
アンケート数 32
現地調査の狙い
ルワンダ共和国では、1994年4月から3ヶ月あまりの間に約80万人のツチ人とフツ人穏健派が殺害されるという大虐殺(ジェノサイド)が発生した。当時、同国には国連PKO部隊が展開していたものの、国際社会はこれを止めることはできず、同年7月にウガンダで結成されたルワンダ愛国戦線(RPF)がフツ人過激派を武力で打倒することによって虐殺は終結する。権力を掌握したRPF政権は、国民融和と国家再建への努力を掲げ、年率5.3%の経済成長を実現し、国際的には高く評価されている。その一方、ルワンダで最も人口率が高いのは農村であり、人口の90%が農業に従事する者である。近来、ルワンダ政府は貧困が大きい問題として認識し、貧困削減政策を強調した「Vision2020:ビジョン2020」を発表した。農村インフラへの投資などの農村開発、農業ベースの製造業の振興など農村地域を焦点にした政策が多く含まれている。
 農業に従事する人口は国内総生産(GDP)の約45%である。また、貧困層率が最も高いのも農村である。貧困削減政策の実態を明らかにするには農村地域を調査することは不可欠である。本調査は農村地域の住民を対象に貧困削減政策の実態を明らかにすることを狙いとした。
現地調査の簡単な結論
この地区の多くの農民は、厳しい生活水準にもかかわらず、日々一生懸命生活している。そして、住民らは、政府がこの村に電気を通じるようにしたり、水ポンプを作ったり、大きい道路を建設したことにより、生活が便利になり、開発が進んでいると肯定的に評価している。政府は住民と定期的にミーティングを開き、貧困から抜き出すためにはどうすればよいかに関して政策を実施するだけでなく、「住民教育」を行っている。村人は大統領に対して表面上は「絶対的な信頼」を持っているように見受けられるが、官僚や公務員などに対しては不満を漏らしてもいた。また住民によると、紛争前と紛争後の生活水準を比べると、現在の生活には明らかな改善がみられるという。ただし、依然紛争について不安を感じる人々が多い。多くの人が暴力を二度と繰り返したくないという気持ちを有している。他方で、開発が続く以上は、政府の決定に従うと述べた人が多かった。
 このように政府による貧困削減政策が、農村部住民に一定の評価を得ていること、ただし同政策の受容が必ずしも主体的なものではないこと、政府への「服従」が見受けられることが本調査で明らかになった。
# by kaken-africa | 2012-02-08 14:34 | 調査報告(ルワンダ)

マウア郡開発課題と可能性についての参与型調査(2011年8月、フォローアップ調査2-3月)

2011年8月に3週間の予定で実施したモザンビーク北部農村での現地調査の一部に研究協力者の三本木一夫さんに参加していただきました。三本木さんは、農村開発・農業技術の専門家で、ラテンアメリカ、アジア、アフリカの世界中で換金作物(樹木)栽培の指導にあたってこられてきました。その経験に基づき、研究代表者の調査地でもあるニアサ州マウア郡の地域開発の課題と可能性について、現地に赴き、参与型観察を行ってくださいました。
 その結果、この地域一帯の気候風土・土壌・人々の意欲から、農業開発のポテンシャルの高さを評価されるとともに、地元大学機関(ルリオ国立大学農学部)の関与の重要性、女性たちのイニシアティブと組織化の重要性が指摘されました。特に、コーヒー栽培の可能性について、参与型で観察を行い、確かな手ごたえを感じたとのことでした。それ以外にも色々潜在的な可能性の高い生産活動についての助言も頂きました。
 同郡は、モザンビーク紛争(1977年-92年)の際だけでなく、植民地解放戦争時にも郡の大半が戦争の影響を受けており、地元住民の暮らしは依然厳しいものがあります。ここ数年、タバコ栽培が急速に広がり、男性住民が大金を獲得するようになったものの、そのお金が酒代や買春に使われ、多妻化も進行しつつあります。このような家庭、地域社会の関係の問題の他、土壌の劣化とそれに伴う開墾の加速化といった環境破壊も急速に進みつつあります。
詳細:http://mudef.net/mdgsblog/2012/01/18/000419.html
 これに対し、女性が主体的にかかわれる生産活動と現金収入の向上が、家庭・社会・地域の平和と安全に重要な役割を果たすことが明らかになりました。これについては、地元女性たちも地元で女性を応援する教会も承知しているものの、その対策は識字教育と裁縫教室に限定されてきました。以前から、地域にある資源としてのコーヒー栽培の将来が検討され、試みられてきましたが、あまり効果を得てきませんでした。
 そこで、8月の調査では、特にこのコーヒー栽培について、地元関係者にヒアリングを行ったほか、地元女性たちとの対話やデモストレーションを通じて、課題と可能性を調べ、以上の結果を得ました。その後についてのフォローアップ調査を、2-3月に5日間の予定で研究協力者の三本木氏に依頼しています。
# by kaken-africa | 2012-02-08 13:56 | 調査報告(モザンビーク)